ゲームクリエイターに転職したい方へ

「本当に将来性はあるのか」「自分はどの職種に向いているのか」。
まず全体像を押さえ、今日から動ける形に落とし込みます。

【結論】ゲームクリエイターへの転職は十分に狙える

国内市場は拡大傾向。とくに運用や生産性に直結する職種(サーバー/テクニカルアーティスト/UI/UX など)の採用は堅調です。
未経験でも、小さくても完成させた作品を見せられればチャンスはあります。はじめの3か月で1本、動くものを仕上げましょう。

ゲームクリエイターの主な職種と仕事内容・必要スキル

役割の全体像

  • プロデューサー/ディレクター:企画〜リリースの推進、品質・進行管理
  • プランナー:体験設計・仕様作成・データ運用で“面白さ”を磨く
  • 3DCG/アート:見栄えと軽さの両立、量産しやすいパイプライン構築
  • プログラマー:実装・最適化・ツール化で開発を前に進める
  • UI/UX:迷わず遊べる導線設計、定量的な改善
  • サウンド:音作りと実装、シーンに合う鳴り方の調整
  • サーバー:API・認証・ランキング・監視と運用
  • QA/ローカライズ/CS:品質、多言語、ユーザー接点を支える

職種別:求められる知識・スキル(実務キーワード)

職種求められる知識・スキル(例)
ゲームプロデューサー交渉・合意形成/ステークホルダー管理/予算・PL管理/収益モデル設計(F2P等)/スケジュール・リスク管理/KPI設計
ゲームディレクターゲームデザイン原理・UX理解/品質基準策定・クリエイティブレビュー/部門横断の調整/スコープ管理/不具合トリアージ
ゲームプランナー仕様書作成(画面・挙動・データ)/バランス設計/データ分析(Excel/スプレッドシート)/KPI設計・検証/ユーザー調査
UI/UXデザイナー情報設計/プロトタイピング(Figma 等)/導線改善(迷子率・入力時間の短縮)/ガイドライン運用/可用性テスト
3DCGデザイナーキャラ/背景モデリング/テクスチャ/マテリアル/最適化(LOD/VRAM/描画負荷)/リギング・スキニング基礎/制作規約
ゲームプログラマーUnity(C#)/Unreal(C++/BP)/パフォーマンス最適化(Profiler)/非同期・メモリ管理/開発支援ツール化/Git
サーバーエンジニアAPI設計/認証・課金・ランキング/負荷試験(同時接続・p95)/監視・障害対応/コスト最適化
サウンド作曲/効果音制作/ミドルウェア実装/ミキシング・ラウドネス管理/シーン連動の調整
QAテスト設計(範囲・優先度)/バグ再現・トラッキング/自動化候補抽出/回帰防止フロー
ローカライズ用語集/文脈注釈の運用/文字制限・UI制約対応/LQA指摘管理/多言語の進行管理
CS/運用問い合わせ分類・応対設計/初回応答時間の短縮/解決率向上の打ち手/FAQ/ナレッジ更新

見出しやポートフォリオの小見出しにこれらの語を自然に含めると、検索されやすく、採用側も確認しやすくなります。

職種別の平均年収相場

ゲームクリエイター全体の平均年収は約467万円(参考:求人ボックス)。日本の平均給与よりやや高めです。
ただし、職種や雇用形態で幅があります。

職種例正社員の年収目安
プロデューサー/ディレクター460〜600万円台
プランナー450〜480万円前後
3DCGデザイナー480〜500万円台
プログラマー460万円前後
サウンドクリエイター490〜500万円前後
  • フリーランスはさらにレンジが広く、プログラマーで月60〜100万円程度の案件が多い傾向(参考:FreelanceHub/レバテック)。
  • 20代後半〜30代で収入が伸びやすいという傾向は、CESAの調査にもあります。
    ※経験・会社規模・担当範囲で上下します。あくまで目安として参照してください。

はじめの3か月の進め方(未経験向け)

狙いは「小さく作って最後まで仕上げる」を短い周期で回すこと。大作より、小さく速く、確実に。

1か月目:道具に慣れて芯を作る

  • 使うツール(Unity/Unreal、DCC、DAW 等)を決め、毎日少しでも手を動かす
  • 教材やサンプルに自分の工夫を1つ入れる(UIの一手/軽量化/効果音の差し替え 等)
  • 目安:30秒の短い動画+1段落の説明で「何をしたか」が伝わる

2か月目:一本を“遊べる/見られる/聴ける”形にまとめる

  • スコープを絞り、未完成の要素は切る。「タイトル→体験→終わり」を通す
  • 他者に1回触ってもらい、詰まった箇所だけ直す
  • 目安:最後まで通る/致命的な不具合なし/紹介用の短い動画あり

3か月目:志望職種に直結する強みを1点だけ深める

  • UI/UX:迷いを減らす → 作業時間や誤操作の変化をひと言で添える
  • 3DCG:見栄えを保ったまま軽くする → VRAMやロード時間の変化を添える
  • プログラマー:フレーム時間や読み込みの改善 → 数字を一つだけ
  • サウンド:シーンと音の連動 → 15秒動画で変化を見せる
  • 企画(プランナー):離脱箇所を作り直す → 完了率の変化を添える
  • 目安:Before/Afterが一目でわかる素材+1ページの簡潔な説明

提出セット(共通):体験できる本体/短い動画(15〜30秒)/1ページ説明(目的・役割・工夫点・Before→After・前提条件)
公開先:職種に合わせてOK(ポートフォリオサイト/動画共有/リポジトリ等)。リンク切れと権利表記は忘れずに。

ポートフォリオの見せ方(全職種で有効)

見る側が知りたいのは「どこが良くなったか」「どう分かるか」。流れを固定すると伝わりやすくなります。

  • 基本の流れ:Before → 工夫 → After → 前提(環境・制約) → 数字や短い動画
  • 1ページ要約:目的/担当範囲/工夫点3つ/Before/After/前提(環境・制約)/数字・動画/次の一手
  • 15秒動画の台本:0–3秒 Before(課題) → 3–12秒 工夫 → 12–15秒 After(数字や一言)

職種の例

  • プログラマー:フレームレートやp95フレーム時間の改善を一つだけ示す
  • サーバー:同時接続数テストの結果をひと言で
  • TA:ツールで作業時間を短縮した様子を短い動画に
  • UI/UX:迷子率・入力時間の変化を動画と簡単な表で
  • QA:検出→修正→再テストの流れを1枚にまとめる
  • ローカライズ:用語統一・注釈運用でLQA指摘が減った事例
  • CS/運用:初回応答時間や解決率の改善と、対応フローの見直し

応募でやりがちな失敗と直し方

  • 未完成の作品を出す → 規模を小さくし、最後まで通る形に
  • 職種とポートフォリオのズレ → 求人票の評価軸に近い成果を最上段に
  • 主観だけのアピール → Before/Afterと短い動画を添える
  • 権利や社外秘に無頓着 → 自作・許諾範囲を明記。公開が難しい箇所は匿名化

転職を成功に近づける3つのコツ

  1. 短く完走できる題材を回す:大きく作らず、完成を最優先
  2. “見せる順番”を整える:最も評価される成果を冒頭に置く
  3. チャネルを複線化する:求人サイト・専門エージェント・SNS・紹介を並行

まとめ

ゲームクリエイターへの転職は、小さく完走した作品伝わる見せ方で勝負できます。
職種の地図を押さえ、3か月で1本仕上げ、短い動画と1ページの説明で伝えていきましょう。
積み重ねるほど、声がかかる確率は高まります。

参考出典