「ゲーム業界のデバッガーって、実際どのくらい稼げるの?」

「好き」を仕事にできる魅力的な職種、デバッガー。しかし、そのリアルな年収は、働く会社がゲーム業界の中でどのような立ち位置にあるかによって大きく変わります。

この記事では、ゲーム業界のデバッガーの「年収」に徹底的にフォーカスし、雇用形態や働く企業タイプによるリアルな給与相場の違いから、あなたの市場価値を知るための情報までを詳しく解説します。

他記事でデバッガーについての基本的な解説をしているので、気になる方はこちらも併せてお読みください。

ゲームテスター(デバッカー)とは?仕事内容・求められるスキル・やりがいを徹底解説

【雇用形態別】デバッガーのリアルな年収・時給相場

デバッガーの収入は、雇用形態によって大きく異なります。まずは、それぞれのリアルな相場観と、その業務内容を見ていきましょう。

アルバイト・パート:未経験からのスタート地点

時給相場:1,200円 ~ 1,800円ほど

月収例:約20万8,000円(時給1,300円 × 1日8時間 × 月20日勤務の場合)

年収例:約250万円 

未経験者が最初に就くことが多いのが、アルバイトのデバッガー(テスター)です。都心部では時給1,300円以上の求人も多く、スキルや経験は問われないケースがほとんど。経験を積み、新人教育や簡単な進捗管理を任されるリーダー職になると、時給1,800円以上を目指すことも可能です。ただし、昇給の幅は限定的で、ここから大きく収入を伸ばすのは難しいのが実情です。

契約社員:専門性を高めるステップ

年収相場:300万円 ~ 450万円ほど

月給例:25万円~37.5万円 

特定のプロジェクト単位で契約する働き方です。アルバイトよりも責任範囲が広がり、テストスケジュールの管理や、より詳細な不具合報告書の作成などを任されることがあります。正社員登用制度を設けている企業も多く、本格的なキャリアを築くための足がかりとなる重要なポジションです。

正社員:安定した環境で経験を積む

年収相場:350万円 ~ 550万円 ほど

品質保証(QA)チームの正規メンバーとしての働き方です。安定した固定給と賞与(ボーナス)、充実した福利厚生のもとで、腰を据えてデバッグ・テスト業務の経験を積んでいくことになります。ここから先の年収アップは、後述するキャリアチェンジが鍵となります。

働く会社で給料は決まる!ゲーム業界の3つの企業タイプと年収の違い

同じ正社員デバッガーでも、所属する会社によって年収レンジは大きく異なります。

① パブリッシャー

役割:ゲームの企画・販売・宣伝を担い、IP(知的財産)を管理する、いわば「発売元」です。

年収目安380万円 ~ 550万円

パブリッシャーは、自社ブランドの品質を維持する責任が非常に重く、QA(品質保証)部門に大きな予算と権限が与えられています。そのため、デバッガーの給与水準も最も高く設定される傾向にあります。単なるバグチェックだけでなく、品質向上のための分析や提案など、より高度な業務を任されることも多く、その専門性が給与に反映されます。また、企業自体の収益性が高く、全体の給与テーブルが高いことも大きな理由です。

② デベロッパー(開発会社)

役割:パブリッシャーからの依頼を受け、実際のゲーム開発を専門に行う会社です。大手から中小まで規模は様々です。

年収目安350万円 ~ 500万円

デベロッパーの場合、年収はスタジオの規模やプロジェクトの予算に大きく左右されます。世界的なヒット作を開発する大手デベロッパーでは、パブリッシャーに近い給与水準が期待できます。一方で、中小規模のスタジオでは予算が限られるため、給与はやや抑えられる傾向にあります。開発チームと一体となって、よりクリエイティブに近い立場で品質保証に関われるのが特徴です。

③ デバッグ専門会社

役割:パブリッシャーやデベロッパーから、テスト・デバッグ業務を専門に請け負う会社です。

年収目安300万円 ~ 400万円

多くの未経験者が最初にキャリアをスタートさせるのが、このデバッグ専門会社です。業界への入り口として最も門戸が広い反面、業務がテストの実行に特化していることや、ビジネスモデルの構造上、年収は3つのタイプの中で最も低い水準からのスタートとなります「まずは実務経験を積む場所」と位置づけ、ここからパブリッシャーや大手デベロッパーへ転職し、年収アップを目指すのが一般的なキャリアパスです。

デバッガーからの年収アップは「キャリアチェンジ」が鍵

ここまで見てきたように、デバッガーとしての業務範囲内での年収アップには限界があります。年収600万円以上といった高収入を目指すには、デバッグ業務で培った品質への知見を活かし、より専門的な職種へとキャリアチェンジすることが最も効果的な戦略です。

その代表的なキャリアパスが、「QAエンジニア」です。

QAエンジニアは、単にバグを見つけるだけでなく、「どうすればバグを未然に防げるか」「どうすれば効率的に品質を保証できるか」といった、品質保証の仕組み全体を設計する専門家です。デバッガーの上流工程を担うため、年収も飛躍的に向上します。

デバッガーからQAエンジニアになるための具体的なステップや、そのために必要なスキル(テスト設計、自動化など)、詳細なキャリアのロードマップについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてお読みください。

『デバッガーからQAエンジニアになるには?キャリアチェンジのロードマップを解説します』

まとめ

ゲームデバッガーの年収は、キャリアのスタート地点では所属する会社によって差があります。しかし、最終的に高収入を目指す道は一つ。それは、デバッグの経験を活かして「品質保証のプロフェッショナル(QA)」へと進化することです。

まずは業界に飛び込み、経験を積みながら、将来的にどの場所で、どのような専門家として価値を発揮したいのかを考えることが、あなたの市場価値を最大化する鍵となるでしょう。