デバッガーの年収は、どの雇用形態で、どんな会社にいるかで変わります。首都圏基準の相場を、雇用形態×会社タイプで整理しました。
※基礎的な仕事内容は別記事も参照:

年収は「雇用形態×会社タイプ」で変わる

ひと目でわかる早見表(首都圏ベース)

A. 雇用形態別レンジ

雇用形態指標目安レンジ備考
アルバイト/パート時給1,160〜1,350円LQAや深夜帯・繁忙期で上振れ例あり
契約社員年収280〜480万円職種平均(約33.3万円/月)の年換算を参考、下限は地方や小規模案件を含む
正社員年収320〜620万円実務者〜リーダー。ベンダのリーダー求人で300〜600万円の公募例を確認

B. 企業タイプ別の目安(参考帯/QA・品質管理の公開年収ベース)

企業タイプ参考帯(年収)補足
パブリッシャー380〜550万円品質基準づくりや設計への関与が増え、相対的に高め
デベロッパー350〜500万円規模と予算で変動。上流のQAエンジニアはさらに広い帯
デバッグ専業300〜400万円実務者の目安。リーダー/PMで〜600万円の公募あり

注:本表は首都圏基準。固定残業や深夜手当の有無で体感年収は変わります。募集要項の内訳を必ず確認しましょう。

【雇用形態別】時給・月収・年収の目安

アルバイト/パート:入口になりやすい働き方

首都圏の時給は概ね 1,160〜1,350円。LQAや深夜帯、繁忙期は上振れします。月収の目安は、たとえば 1,300円×8h×月20日で約20.8万円。年収は約250万円がひとつの目安です。最初はテスト実行が中心ですが、進行補助や指示出しを担うと時給の上側に寄っていきます。恒常的な底上げには役割の拡張が必要です。

契約社員:責任と裁量が一段増える

年収の目安は 280〜480万円。Indeedの職種平均(約33.3万円/月)を年換算の参考にしつつ、地方や小規模案件の下限も含めて幅を取っています。案件規模や残業、シフトで振れます。正社員登用がある企業では、レンジ自体が切り替わることがあります。

正社員:安定と伸びしろは役割次第

年収の目安は 320〜620万円。デバッグ専業ベンダでは、QA/デバッグのリーダー職で 300〜600万円の公募が見られます。実務者は下側からのスタートが一般的ですが、進行管理や設計タスクに関与できると上側へ寄ります。

【企業タイプ別】報酬が変わる理由と目安(参考帯/QA・品質管理の公開年収)

(注)パブリッシャー/デベロッパーでは「デバッガー」直雇用が少ないため、近接職種のQA・品質管理の公開年収を参考帯として記しています。

パブリッシャー(発売元)
自社IPの品質と発売時期を守る立場です。テストの実行にとどまらず、基準づくりや設計、欠陥の分析まで踏み込む場面が多く、報酬は相対的に高め。参考帯は 380〜550万円(大手の品質管理の平均推定は約490万円)。

デベロッパー(開発会社)
実装チームとの距離が近く、再現 → 修正確認 → 再検証のサイクルをどれだけ速く回せるかが評価されます。ツール連携や簡易スクリプトができると上振れ。参考帯は 350〜500万円。上流のQAエンジニアまで担うと 400〜1,000万円の求人例もあります。

デバッグ専業(ベンダ)
発注側の計画に沿って規模の大きいテストを確実に回す役割です。実務者は控えめな出だしですが、ライン管理や拠点間調整、進行管理まで担うと上限が上がります。参考帯は 実務者 300〜400万円/リーダー〜PMで〜600万円。

出典(最終調査:2025-09):
デジタルハーツ(採用)ポールトゥウィン(求人例)Indeed(ゲームテスター平均給与)SSエージェント(PTW情報)Indeed(スクウェア・エニックス品管の推定)Cygames(QAエンジニア求人)

年収に効く要素はどこか

1. 地域差

首都圏は採用競争と物価の影響で上振れしやすく、地方は下限が広がりがちです。転居が難しい場合は、大型案件の多い拠点や期間限定の増員案件を狙うと上側に寄せやすくなります。

2. 案件規模・難易度

多プラットフォームや長期運用のタイトルは、テスト範囲が広く報告精度も求められます。検証観点の追加提案や再現性の高い指摘ログが積み上がると、同レンジ内でも評価が上がります。

3. シフト/夜勤・繁忙期

夜間や繁忙期は時給・手当が一時的に上がります。とはいえ、恒常的な底上げには役割の上流化(進行管理や設計への関与)が必要です。

4. 雇用形態の切り替え

契約から正社員への登用制度がある企業では、同じ実務でも年収の帯が切り替わります。制度の有無と過去の登用実績(人数や期間)は事前に確認しておきましょう。

次にやること

面接や社内評価で見られるのは、やってきた仕事が「見える形」で残っているかどうか。大げさな資料は不要です。日々の実務から拾えるアウトプットを少しずつ整えておきましょう。

  • 指摘ログ:再現手順・期待結果・影響範囲まで書いたものをいくつか。
  • 手順書/チェックリスト:誰が見ても回せるレベルの簡潔なもの。
  • 小さな設計:観点出し、優先度づけ、カバレッジの考え方を1ページにまとめる。

これが一つでも揃っていると、同じ実務でも評価のされ方が変わります。設計や自動化に少しでも関わった事例があれば、一言で添えると伝わりやすい。

詳しい進め方:

まとめ

相場は、自分を「雇用形態×会社タイプ」のどこに置くかで見え方が変わります。まず位置を確かめ、次に役割を一段だけ広げてみる(進行管理や設計の一部など)。その二歩で、同じ現場でも狙える帯は上がっていきます。