独立後の収入は、月額の業務委託+単発(BGM/SE)の組み合わせで伸びます。結論として、年収1,000万円は条件が整えば現実的です。前提は、要件定義(尺・用途・権利)と修正回数の管理、そして安定した稼働の確保です。

フリーランス・サウンドクリエイターの収入実態

収入はおおむね「単発案件」+「月額契約(業務委託)」の掛け合わせで構成されます。

  • 単発:BGM/SE/ジングル/ボイス編集/ミックス/マスタリング。尺・用途・修正回数・権利範囲・実装有無で単価が大きく変動。
  • 月額:稼働日数(週稼働)やロール構成(作曲/サウンドデザイン/実装)、Wwise/ADX2・Unity/Unreal Engineの実装スキル有無で上振れ。

【案件別】単価の目安

以下は目安です。実際の見積もりは、用途・尺・修正回数・実装範囲・権利条件で上下します。

  • BGM制作(1曲あたり):3万円〜30万円以上
  • 〜5万円:短尺・汎用BGM。
  • 10万円〜:ゲーム内主要曲(バトル/イベント等)。
  • 30万円〜:メインテーマ/インタラクティブ対応/ステム納品など高度要件。
  • SE制作(1音あたり):2,000円〜1万5,000円
  • UI系など軽量は下限帯、複雑な演出音・セット提案は上振れ。パッケージ見積もり(例:20点/50点)で単価調整もしやすい。
  • 月額契約(業務委託):40万〜70万円台が中心
  • 稼働は週5日想定が多く、Wwise/ADX2+Unity/Unreal Engineの実装まで担うと上振れしやすい。

出典(参考)

フリーランスサウンドクリエイターで年収1000万円は可能か?

前提:週5日相当の稼働、同時進行は2〜3本まで、修正は基本2回まで無料(以降追加)、実装の有無を事前合意。

  • モデルA(安定寄り):月額60万円×1本+BGM単発15万円×1本/月月75万円
  • モデルB(攻め型):月額70万円×1本SEパッケージ(小〜中規模)を隔月で追加→平均月90万円前後を狙う。

月84万円を安定確保できれば年収1,000万円の射程。修正工数・検証時間・実装範囲を見積もりに含めてブレを抑えます。

単価を劇的に上げる!高単価フリーランスになるための必須スキル

  • オーディオミドルウェア(Wwise/ADX2)の実装
    ステート/RTPC/スイッチ/ルーティングでの演出制御、発音数と負荷の管理。作曲+実装を一気通貫できる体制は強い差別化。
  • ゲームエンジン(Unity/Unreal Engine)の理解
    圧縮設定・サンプルレート・発音制御・ミキサー/サブミックスなど、エンジン側での最適化を前提に音作り。エンジニアと仕様で会話できること自体が価値。
  • 納品仕様とパイプライン
    48kHz/24bit WAV、ループポイント、ステム納品、命名規約、差分管理を標準化。修正条件の明文化で摩擦と追加工数を抑える。

「仕事が途切れない人」になるための案件獲得術

  • フリーランスエージェントの活用:長期・非公開の月額案件にアクセスしやすく、キャッシュフローが安定。
  • SNSでのセルフブランディング:X/YouTube/SoundCloudに制作過程・比較音源・実装動画を定期掲出。固定ポストにポートフォリオ。
  • 過去の人脈からの紹介:四半期に1回の近況共有、軽い相談への即レスで頼みやすさを維持。
  • イベント・コミュニティ:CEDEC/勉強会/Discordでデモ提示。名刺+QR(ポートフォリオ直リンク)で回遊性を高める。

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まとめ

この仕事の報酬は、音を作る力に実装まで見通す力が重なるほど安定して伸びます。収入は月額の土台単発の山を重ねる設計が基本。ここで示した相場は“目安”で、要件と体制の組み方で上下します。

見積もりが通らない、単価がぶれる——そんなときは、尺・用途・修正回数・権利・実装の有無の5点が曖昧なまま進んでいないかを先に確認。ここが固まるだけで、根拠のある単価になり、後工程の摩擦も減ります。

広げすぎない運用も大切です。週5相当の稼働で同時進行は2〜3本までに抑え、検証と修正の時間を確保する。そのうえで、ポートフォリオに実装デモステム提示が一つ加わるだけで、依頼の質と継続性は変わります。