市場概観とこの記事のポイント

本記事では、日本市場データをベースに「役割定義」「必須スキル」「キャリアステップ」を具体化し、実務チェックリストと内部リンクで次の一手を即行動化します。

ゲームUI/UXデザイナーの魅力と市場背景

「プレイヤーの期待を“かたち”に変える──それがゲーム UI/UXデザイナーの醍醐味だ。」

――2023年の国内ゲーム市場は前年比4.6%増の2兆1,255億円に達し1、年間ゲーム人口は5,553万人へ拡大しました2
モバイルゲーム市場のIAP収益は1~8月で90億ドル超を記録し、世界3位の規模を誇ります3。家庭用ゲーム市場も2024年速報で3,013億円と底堅い需要を示しています4
求人動向では、dodaに88件、求人ボックスに2,559件のゲームUI/UXデザイナー求人が掲載され56、未経験歓迎枠は2,731件と門戸も広がっています7
フリーランスUXデザイナーの平均年収は813.3万円に上り8、eスポーツ市場の拡大(2023年146.85億円)がUX需要をさらに押し上げています9
さらに、FigmaやSketchにAI機能が搭載され、設計フロー自体が進化中。UX設計者コミュニティでも「AIは一人の可能性を拡張する」と注目されています10

結論
日本という“最前線市場”で、UI/UXデザイナーは高収益×豊富求人×リモート推進の三拍子がそろった理想職。
本記事では、ゲームUI/UXデザイナーの役割定義・必須スキル・キャリアステップを、最新国内データと実務チェックリスト、および関連記事リンクとともに解説します。

仕事概要:ゲームUI/UXデザイナーの役割定義

A-1 定義と役割

ゲームUIデザイナーは画面レイアウトを設計し、UXデザイナーは体験全体(遷移・フロー)をプランします。両者は兼任されることもあり、応募時には「画面設計とユーザビリティ改善」の両立力が求められます。

A-2 主な業務内容(プロトタイピング)

ゲームUI/UXデザイナーは、プレイヤーの操作感を左右する「画面設計」から、実際に動くモックの検証、ビジュアルアセットの制作、テスト、そしてエンジニアとの実装連携まで、幅広いフェーズをワンストップで担います。以下の5つの業務がその全体像です。

  1. ワイヤーフレーム作成(Figma/Sketch)
    画面構造や情報の優先度を可視化し、ステークホルダーと素早く合意形成します。
  2. プロトタイピング(Adobe XD/Figmaの動的モック)
    クリック可能なモックで操作感を早期検証し、UX上の課題を洗い出します。
  3. ビジュアルデザイン(アイコン・HUD・UIコンポーネント)
    ブランディングと操作性を両立したパーツをデザインし、プレイヤー体験を高めます。
  4. ユーザーテスト(Lookback/UserTestingなど)
    実プレイヤーによる利用シナリオを観察し、定性・定量データをもとに改善サイクルを回します。
  5. 実装サポート(Unity/Unreal EngineでのUI組み込み)
    デザイナーが意図した動作やレイアウトを正確に再現するため、エンジニアと密に連携します。

A-3 開発フェーズごとの関わり方(UXプロセス)

UI/UXデザイナーは、プロジェクト全体を通じて「企画 → 設計 → 検証 → 改善」をリードし、各フェーズで貢献します。以下の流れを理解することで、役割範囲と成果をイメージしやすくなります。

  • プリプロダクション
    企画段階でGDD(ゲームデザインドキュメント)にUX要件を組み込み、初期ワイヤーフレームで操作フローと画面構成を設計します。
  • プロダクション
    本制作フェーズでは、具体的なアセット制作とプロトタイプの改良を繰り返し、チームレビューを通してUIの品質を担保します。
  • テスト
    実プレイヤーやQAチームによるユーザーテストを実施し、操作時の課題をログ分析とヒアリングで抽出。ワイヤーやモックに迅速に反映します。
  • ポストプロダクション
    リリース後は、ユーザー行動データ(クリック率や離脱ポイント)を分析し、アップデートや追加機能のUX改善を継続的に行います。

A-4 ケーススタディ:国内スタジオ成功事例(事例紹介)

以下では、実際のプロジェクトでUX改善をどのように推進し、成果を上げたかを、CapcomとRiot Games日本支社の2つの事例で具体的に見ていきます。

Capcom:RE ENGINE UX改善
カプコンは自社ゲームエンジン「RE ENGINE」の開発ツールにUXデザイナーを早期から配置し、開発者の作業効率を大幅に引き上げる改善を行いました。

  • メニュー階層の再編成で直感的な操作フローを実現
  • アセット検索機能のUI刷新により、必要素材へのアクセス時間を短縮
  • リアルタイムプレビュー画面のレイアウト最適化でフィードバックループを高速化
  • 成果: ツール操作時間が平均15%短縮、開発者満足度スコアが4.2→4.7に向上1112

Riot Games日本支社:ProtoPie導入
Riot Games日本支社では、静的モックからProtoPieを用いたクリック可能なプロトタイプへ移行し、デザイン検証のサイクルタイムを劇的に短縮しました。

  • 従来の静的モックを全廃し、15分で反復テストが可能な動的プロトタイプを導入
  • テスト毎のフィードバックを即座に反映できる体制を構築
  • 社内レビュー回数を削減し、UX調整にかかる工数を大幅圧縮
  • 成果: デザイン修正依頼のレスポンスタイムが平均24時間→6時間に短縮、ユーザーテストあたりの課題発見数が30%増加13

A-5 国内求人動向(ゲームUI/UXデザイナー求人トレンド)

ゲーム業界のデジタルシフトが進む中、UI/UXデザイナーの求人市場はここ数年で急速に拡大しています。主要転職サイトの公示件数や応募者動向を押さえることで、「どれだけチャンスがあるか」を実感できるでしょう。

  • 求人件数推移:2019年約700件→2023年約1,400件(DODA集計)
  • 未経験歓迎枠の割合:全求人の約20%を占め、門戸が年々広がる
  • 応募者数増加:ゲーム業界特化の応募数が前年比+35%(社内SE転職ナビ)
  • 首都圏高単価案件:平均年収は529万~893万円レンジ(コトラ調査)

A-6 NG事例:避けるべき失敗パターン

プロジェクトを成功に導くには、典型的な落とし穴を事前に理解することが不可欠です。以下はゲームUI/UX領域でよくある失敗パターンです。

  • ワイヤーフレーム未共有による手戻り増
    画面設計を関係者と共有せずに進行すると、リリース直前に大幅仕様変更が発生し、手戻り工数が3倍以上に膨らむケースが報告されています。
  • ユーザーテスト省略による離脱率上昇
    本番環境相当の検証を行わないままリリースすると、想定外のUX課題でユーザー離脱率が30%超に跳ね上がる事例があります。

C. 必須スキル & キャリアステップ

C-1 必須スキル:ゲームUI/UXデザイナーが備える4つの柱

ゲームUI/UXデザイナーは「設計→検証→改善→表現」のサイクルを1人で回しながら、ユーザー体験を高める役割を担います。以下の4つのスキル柱を習得することで、プロジェクトの各フェーズで価値を発揮できます。

  1. ワイヤーフレーム & 情報設計
    画面の構造やナビゲーションを線画レベルで設計し、ユーザーが迷わず操作できるフローを定義します。
  2. プロトタイピング & インタラクション設計
    Adobe XDやFigmaで動的モックを作成し、クリックやスワイプといった操作感を早期に検証・改善します。
  3. ユーザーリサーチ & テスト
    実際のプレイヤーを対象にユーザビリティテストを実施し、定性・定量データをもとに仮説検証→再設計を行います。
  4. ビジュアルデザイン & ツール習熟
    アイコンやHUDなどのグラフィック要素を制作しつつ、Photoshop/IllustratorやAfter Effectsなどの制作ツールを自在に操ります。

C-2 キャリアステップ:ジュニア→マネージャー(キャリアステップ)

レベル役割・期待スキル経験年数目安
ジュニア UI/UXデザイナー基本業務習得・OJT0–2年
ミッド UI/UXデザイナー複数画面責任・自走プロトタイプ2–5年
シニア デザイナープロジェクトリード・メンター5–8年
リード/チーフデザイナー戦略立案・チーム管掌8–10年
UXディレクター/マネージャー部門ロードマップ策定・予算・育成・KPI監視10年超

C-3 FAQ:よくある5つの質問(FAQ)

  1. 未経験からなれる? → 未経験歓迎求人2,731件[*]
  2. ポートフォリオ要素は? → 3点構成+意図解説+テスト結果で採用率72%[*]
  3. 必須ツールは? → Figma/ScreenToGif公式サイト[*]
  4. UIとUXの違い? → UI=画面デザイン、UX=体験設計全体
  5. 公開プラットフォーム? → Behance/GitHub+自社サイト連携で問い合わせ↑

実務チェックリスト・まとめ & CTA

実務チェックリスト

  • ワイヤーフレーム作成(主要画面3種)
  • プロトタイプ構築(Adobe XD/Figma)
  • ユーザーテスト実施(5名以上)
  • ビジュアルアセット制作(アイコン・HUD・ボタン各5種)
  • 実装サポート学習(Unity/Unreal)
  • キャリアプラン整理(各レベル要件)

まとめ
ゲームUI/UXデザイナーは、国内2兆円超市場・5553万人のプレイヤーを相手に、
画面設計/体験検証/ビジュアル制作/実装サポートの4大スキルを駆使し、
高年収×豊富求人×リモート推進の追い風を受けながらキャリアを築ける職種です。
本稿の必須スキル・キャリアステップ・チェックリストを活用し、あなたのUX設計力を次のフェーズへ引き上げましょう。

注釈リンク

  1. ファミ通「2023年の国内ゲーム市場規模は前年比4.6%増の2兆1255億円」
    https://gamebiz.jp/news/391184
  2. 同上「ゲーム人口5553万人」
    https://gamebiz.jp/news/391184
  3. Sensor Tower「State of Mobile Games in Japan 2023 Report」
    https://sensortower.com/ja/blog/state-of-mobile-games-in-japan-2023-report-JP
  4. Gamebiz「2024年の国内家庭用ゲーム市場規模(速報)は3013億2000万円」
    https://gamebiz.jp/news/399161
  5. doda「UI・UXデザイナー(ゲーム制作/開発)の公開求人数 88件」
    https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__082203S/-preBtn__3/
  6. 求人ボックス「ゲーム UI UXデザイナー 未経験の求人は2559件」
    https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/ゲーム-UI-UXデザイナー-未経験の仕事
  7. 求人ボックス「未経験歓迎求人 2,731件」
    https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/ゲーム-ui-uxデザイナー-未経験の仕事
  8. DX Consultant「フリーランス UXデザイナーの平均年収は813.3万円」
    https://dx-consultant.co.jp/uiux-designer-annual-income/
  9. 日本eスポーツ白書「2023年国内eスポーツ市場は前年比117%の146.85億円」
    https://jesu.or.jp/contents/news/news-250331/
  10. UXDesign.cc「The State of UX in 2025: a love letter about change」
    https://uxdesign.cc/the-state-of-ux-in-2025-a-love-letter-about-change-8ab5dbe4acdb
  11. CAPCOM Open Conference Professional 2023 — DocsWell
    https://www.docswell.com/s/CAPCOM_RandD/K7V3MN-RE2023
  12. CAPCOM Open Conference Professional 2023 アンケート結果 — DocsWell
    https://www.docswell.com/s/CAPCOM_RandD/K7V3MN-RE2023
  13. ProtoPie Blog「Revolutionizing Game UX/UI Design at Riot Games」
    https://www.protopie.io/blog/revolutionizing-game-ux-ui-design-riot-games