「バグを潰す」だけが仕事ではない──品質を守る最後の砦がゲームテスター。
eスポーツタイトルの台頭とライブサービス化の進行で、リリース後も継続的なQAが欠かせない時代になりました。
新機種の同時発売やクロスプレイ対応など、動作検証のスコープは年々拡大しています。

本記事では、ゲームテスターの役割や日常業務、求められるスキル、キャリアパス、年収相場までを初心者にもわかりやすく解説します。
読むだけで「明日から自分は何を鍛えればいいか」が具体的に見える構成です。

モバイルゲーム市場だけでも2024年に世界売上高約1100億ドルを記録し、タイトル数は年2万本規模で増加中。
その裏側でテスト工数も膨れ上がり、専門職としての需要は過去5年で約1.8倍に拡大しています。


ゲームテスターの役割

ゲームテスターは完成前のビルドを実際にプレイし、機能バグ・グラフィック欠け・バランス不整合・ローカライズ漏れなど多様な不具合を洗い出す品質保証の専門家です。

  • テスト設計:仕様書を基に網羅的なテストケースを作成
  • 実行:実機/エミュレータで検証し、動画・スクリーンショットを取得
  • レポート:再現手順と優先度を明確にし、開発へフィードバック

特にMMOや対戦ゲームでは、1件のクラッシュが数千人の体験を損なうため、テスターの目利きがゲーム評価を左右します。
リリース後もパッチ検証やCSからの不具合報告の一次切り分けを担当し、運営チームの対応スピードを高めます。


日常業務フロー

  1. テストケース作成
    仕様書を読み込み、入力デバイス・ネットワーク条件を含む操作パターンを文書化。
  2. 検証実行
    クラウドデバッグ環境を活用しつつ、ログ取得/動画キャプチャで再現性を担保。
  3. バグ登録
    JIRA・Redmine 等へ詳細入力。重大度・優先度を設定し、ハイライト付き画像を添付。
  4. 回帰テスト
    修正ビルドで問題解消を確認。副作用を予測して追加チェックも行う。

ローンチ後は定期パッチ検証のほか、CS経由の報告を早期に絞り込むことでプレイヤー離脱を防ぎます。


必要スキル・資質

  • 論理的思考と観察力:微細な挙動の違和感を言語化し、再現条件を組み立てる力
  • ドキュメント管理力:Excel や TestRail でのケース管理と履歴追跡
  • コミュニケーション力:開発とQAの橋渡し役として優先度交渉を行う対話力
  • ゲーム理解:ジャンル固有のルールを把握し、潜在バグを予測する洞察

使用ツール・ドキュメント

カテゴリ代表ツール活用ポイント
バグトラッキングJIRA / Redmine / Hansoft優先度・再現手順をセットで登録
テストケース管理Google スプレッドシート / TestRailCI/CD と連携し、自動チェックを実装
画面記録OBS / Xbox Game Bar再現が難しい不具合を動画で共有

リモートデバッグや大容量データ転送が増える中、暗号化通信と権限管理の知識も評価されます。


きついと言われる理由と対処

  • 長時間検証:同じステージを繰り返す集中力が必要
  • タイトな締切:深夜ビルドに付き合うケースもある

しかし、近年は自動化スクリプト導入とシフト制整備により残業中央値が約20%減少。
「クラッシュ率をゼロに近づけた」「大会を無事開催できた」など成果が可視化されやすく、達成感がモチベーションを支えます。