“光と粒子”でゲーム体験を底上げするスペシャリスト

ボス戦の必殺技や街に漂う霧──そうしたリアルタイム演出を設計・実装するのがエフェクトデザイナーです。
Unity なら VFX Graph、Unreal なら Niagara、Houdini で爆発をシミュレーションし、ShaderLab/HLSL で最適化。アーティスト感性とエンジニア論理を両立させる “職人+テクノロジスト” のポジションです。

国内外スタジオの求人は右肩上がり。平均年収は約 500 万円、リードクラスで 800 万円超も珍しくありません。

5章を読むだけで「エフェクトデザイナーになるまで」の全体像が掴めます。

  1. 役割と業務フロー
  2. 必要スキルと使用ツール
  3. 制作フロー&チーム連携
  4. 年収相場とキャリアパス
  5. ポートフォリオ作成と転職準備

エフェクトデザイナーとは

リアルタイムで動く光・粒子・煙を設計し、
1) 画面インパクト 2) GPU/CPU 負荷 3) ゲーム可読性
この3点を同時に最適化する専門職。Unity の VFX Graph、Unreal の Niagara、Houdini などを駆使し、60 fps を維持したまま“気持ちいい”演出をつくる。

主な仕事4カテゴリ

  1. アクション演出
  • 攻撃・魔法・爆発・ヒットスパーク
  • GPU パーティクルで瞬間的なピークを演出
  1. 環境演出
  • 雨・雪・霧・火花など持続系
  • Houdini でシミュレーション → ゲームエンジンへベイク
  1. UI/2D VFX
  • ゲージ充填・アイテム獲得など情報補強エフェクト
  • Sprite シート+軽量シェーダーで実装
  1. 負荷計測と最適化
  • RenderDoc/Unreal Insights で ms・ドローコール確認
  • LOD、GPU Instancing、Fixed Bounds などで削減

1日の流れ(例)

時間タスク使用ツール
10:00朝会で演出仕様を確認Slack / Notion
11:00VFX Graph 試作Unity / VFX Graph
13:00シェーダー調整Shader Graph / HLSL
15:00プロファイル測定RenderDoc / Insights
17:00チームレビューGit / Zoom
19:00反映 & ビルドチェックNiagara / OBS

仕事の魅力と難しさ

魅力

  • 演出がそのまま“気持ち良さ”に直結し、ユーザー反応をダイレクトに感じられる
  • XR やメタバースなど拡張領域にスキルを横展開できる

難しさ

  • ビジュアルとパフォーマンスのトレードオフが常に発生
  • ツールアップデートが速く、継続的なキャッチアップが必須

必要スキルとツール

コアスキル4領域

  1. DCC &モデリング基礎
  • Maya/Blender でメッシュ調整・UV 展開
  • 簡単なアニメ付きモデルを書き出し、パーティクルの発生源に利用
  1. VFX ツール運用力
エンジンツール着目ポイント
UnityVFX GraphGPU パーティクル・Subgraph 再利用(URP/HDRP 両対応)
UnityShuriken軽量パーティクル/モバイル向け最適化
UnrealNiagaraEmitter/Module 構造と Fluids テンプレート
HoudiniPyro/POP爆発・煙をシム → ゲームエンジンへベイク
  1. シェーダー&最適化
  • ShaderLab/HLSL で PBR マテリアルを軽量化
  • LOD、GPU Instancing、テクスチャアトラスでモバイル負荷を削減
  1. 観察力とタイミング設計
  • 実写資料をスロー再生し 0.1 秒単位でピークを決定
  • 画面可読性と演出インパクトを両立させる “引き算” 判断

ソフトスキル

  • 企画・プログラマーと負荷交渉を行うコミュニケーション力
  • Git/Perforce でアセット差分を管理し、衝突を防止
  • 英語ドキュメントを読み、新機能をチームへ共有(RealtimeVFX コミュニティ活用)

習得ロードマップ(例)

  1. DCC とシェーダー基礎を 1 か月で習得
  2. Unity VFX Graph で 10 種のエフェクトを再現 → GitHub に公開
  3. Houdini で爆発を作り、Niagara に取り込んで工程全体を体験
  4. 作品ごとに GIF+GPU ms+学びを “1 GIF+200 字” でアウトプット

制作フローとチーム連携

制作フロー(MVP → ブラッシュアップ)

フェーズ目的主なタスク&使用ツール
① 企画レビュー演出意図と負荷上限の合意仕様書共有・リファ動画確認・見積もり作成(Slack / Notion)
② MVP 実装“動く雛形”を最速で提示VFX Graph/Niagara で低負荷版を作成 → RenderDoc で計測
③ 反復改善見映えとパフォーマンスを両立シェーダー最適化・破片追加(Houdini)・LOD/GPU Instancing
④ QA テストリリース品質を担保FPS 計測・カメラワーク検証・色覚チェック
⑤ リリース&資料化ノウハウを次案件へ継承演出仕様書・負荷レポート・Git ブランチ整理/Wiki 共有

ポイント:MVP を 1〜2 日で出し、短いサイクルでレビューすると実装コストが半減。

チーム連携のコツ

  • 数値を先に握る
    「爆発 0.8 ms 以下」など GPU コスト上限を企画段階で明確化。
  • GIF+数値でレビュー
    5 秒 GIF と RenderDoc スクショをセットで共有 → Before/After が一目瞭然。
  • 再利用前提のグラフ設計
    高負荷ノードは Subgraph 化し、全シーン共通で呼び出す。
  • TA・プログラマーとの三角連携
    週1回 “負荷クリニック” を実施し、ボトルネックを早期発見。

実践 Tips

  • Niagara の Fixed Bounds を設定し、カリングで消える不具合を防止。
  • Shader Keyword を整理し、モバイル向けビルドサイズを圧縮(目安 64 個以下)。
  • Houdini の Attribute Transfer で破片サイズごとにマテリアルを自動割当て → アセット制作時間を 25 % 削減。

市場価値・年収相場

求人動向と需要の伸び

  • グローバル VFX 市場は 2024 年 107 億ドル → 2033 年 187 億ドルと 約 1.7 倍 に拡大予測。
  • 国内求人も増加傾向。レバテックキャリアでは「エフェクトデザイナー」掲載数が前年同月比 +24 %(2025 年 6 月時点)。
  • Unity が VFX Graph for Mobile を正式リリースし、モバイル GPU パーティクル人材のニーズが急騰。

注目分野

  • XR/メタバース VFX:低遅延&空間 UI 演出の案件が増加
  • e スポーツ配信演出:観客 HUD やカメラ用 VFX の専門枠が新設
  • リアルタイム Ray Tracing:UE5 Lumen、RTX 対応タイトルの開発加速

年収レンジとスキル別相場

ポジション経験年数年収目安 (万円)キラースキル例
ジュニア VFX デザイナー0–2 年300–450Unity Shuriken、Blender 基礎
ミドル(汎用 VFX 運用)2–5 年450–650GPU パーティクル (VFX Graph / Niagara)
シニア/リード5–8 年650–900Niagara 自動化+負荷最適化
テクニカル VFX アーティスト5 年〜750–1,000HLSL/ShaderLab でカスタムシェーダー
演出ディレクター/アートディレクター7 年〜900–1,200+チームマネジメント、演出ロードマップ策定

フリーランス相場

  • 日給 3–6 万円 がボリュームゾーン。
  • Houdini+Niagara で爆破演出を 1 週間納品できる人材は 日給 8 万円超 の事例も確認。

VFX アーティスト(映像)との違い

項目エフェクトデザイナー(ゲーム)VFX アーティスト(映像・映画)
主なプラットフォームUnity/Unreal/自社エンジンHoudini/Nuke/Maya
制作要件60 fps リアルタイム、メモリ制約プリレンダー、尺優先で負荷制約なし
必須スキルパフォーマンス最適化、シェーダーコンポジット、カラーグレーディング
キャリア横展開XR/メタバース、e スポーツ配信映画・CM・MV など映像業界

リアルタイム技術を武器にしておくと映像案件へも“逆輸入”されるケースが増えており、二刀流で単価を上げる デザイナーも多い。

ポートフォリオ作成と転職準備

ポートフォリオ4原則

  1. 1 作品=1 GIF+200 字
  • GIF(5〜8 秒)でループ再生
  • 説明 200 字以内:目的・担当範囲・使用ツール・GPU ms
  1. Before / After 比較で説得力
  • 例:PBR シェーダー最適化「3.2 ms → 1.6 ms」を並列表示
  • 視覚+数値で成果を一目で提示
  1. 技術スタックを可視化
  • Houdini ノードツリー、Niagara グラフ、VFX Graph Subgraph のスクショ
  • シェーダーコードやカスタム Module を GitHub で公開(README にビルド手順)
  1. 軽量形式で即再生
  • メディアは WebP/H.265 MP4、ファイル 3 MB 以内が目安
  • ArtStation(静止画・動画)+ YouTube(4K 60 fps)+ GitHub(ソース)を1ページに集約

提出用チェックリスト

項目Yes / No
GIF のループに途切れがないか
GPU ms・ポリゴン数を明記したか
使用ツールと担当範囲を区別して記述したか
コード/グラフを閲覧できる URL を添付したか
スマホ 4G 回線で 2 秒以内に再生できるか

応募書類のポイント

  • 職務経歴書:プロジェクトごとに「担当 VFX/使用ツール/成果数値」を箇条書き
  • 自己 PR:負荷最適化で達成した FPS 改善や工数短縮を定量化
  • テスト課題:提出時は RenderDoc のキャプチャを添え、再現手順を README に記載
  • 面接準備:過去作品の “失敗→改善” プロセスを 1 分で語れるよう整理

先行レビューで加点を狙う

  1. RealtimeVFX.com の “Work in Progress” スレッドに投稿
  2. 海外 TA からフィードバックを受け、修正版を再アップ
  3. 「国際レビュー済み」の実績としてリンクを履歴書に記載

転職活動タイムライン(例)

アクション
1ポートフォリオ作品を 6 → 10 点に増量
2英語 README と GIF を追加、作品ページを統合
3リクルーターへ URL 共有、書類選考スタート
41 次面接(作品解説+技術質問)
5テスト課題提出 → 2 次面接(TA/リード面談)
6オファー面談 → 条件交渉・内定

“今日できる” 3ステップ

  1. 小さな VFX を 1 つ作り、GPU ms を測定
  2. GIF+200 字で SNS/コミュニティへ投稿
  3. ソースとプロファイルを GitHub へプッシュ

光・粒子・煙をロジカルに組み立て、説得力ある体験をつくる第一歩を今日から。

まとめと次の一歩

おさらい

学べることキーアウトカム
1. 役割とミッション何を最適化し、どう価値を生むか“インパクト×負荷×可読性” の三位一体思考
2. 必要スキルとツール習得すべき4領域+ロードマップ1 か月で基礎→10 作品で即戦力
3. 制作フロー & 連携MVP→反復改善のワークフロー1〜2 日サイクルでレビューし実装コスト半減
4. 市場価値・年収求人動向・相場・伸びる分野XR・モバイル GPU VFX の高単価チャンス
5. ポートフォリオ & 転職作品・書類・面接の作り方“1 GIF+数値” で差別化し内定率アップ

今日から動ける3ステップ

  1. 小さな VFX を 1 つ作る
  • VFX Graph/Niagara で 3〜5 ノードの爆発を試作
  • RenderDoc で GPU ms を取得
  1. “1 GIF+200 字” で公開
  • WebP/GIF 5 秒ループ
  • 目的・ツール・GPU ms を 200 字で説明して SNS / RealtimeVFX へ投稿
  1. GitHub に資産化
  • .shader/.vfxgraph/RenderDoc キャプチャをプッシュ
  • タグとリリースノートで学びを可視化

よくある Q&A

QA
美術系の学位は必須?ポートフォリオ重視。独学+実績で十分カバー可。
Houdini は必ず必要?爆発・破壊系に強み。まずは VFX Graph/Niagara を極め、必要に応じて習得で OK。
英語力は?海外ドキュメント読解とフォーラム質問ができる程度で十分。DeepL 併用で学習可。

エフェクトデザイナーとして羽ばたく

“派手さ” ではなく “理由” を語れるエフェクトが価値を生む――
光、粒子、煙を論理で制御し、プレイヤーの感情を揺さぶる体験へ昇華させよう。今日の 1 作品が、未来のハイエンド演出につながります。