採用現場で評価が分かれるのは、スキルの深さ・伝える力・完遂習慣・案件適合の4つです。面接前に、結論→根拠→依頼の順で話す型と、スクリーンショット・差分PR・構成図の最小セットを準備しておきます。

1. チームを止めない伝達と段取りができるか

技術力が高くても、情報の出し方や会議の回し方が拙いと周囲を巻き込めません。論点の先出し→結論→根拠→依頼の順で伝えると、同じ内容でも評価が変わります。

  • 悪い例:情報量は多いのに要点が散らばり、結論が見えません。議事録が残らず、同じ確認が繰り返されます。
  • 良い例:朝会で依存関係・期限・担当を60秒で共有します。会議後5分以内に議事メモ(決定/未決/宿題)を配信します。タスクはIssue化し、観点と完了条件を明記します。

2. 圧倒的なスキルに加え、安定した“続ける力”があるか

「やり抜き」は履歴書よりスプリントの履歴に表れます。未完了の扱い、引き継ぎの質、レビュー対応は継続性のシグナルです。

  • 悪い例:興味の薄い領域を後回しにし、レビュー指摘を放置してボトルネック化します。スプリント終了時に未完了が積み上がります。
  • 良い例:スプリントごとに未完了の理由と再発防止を共有します。引き継ぎは「目的/現状/残作業/リスク」でテンプレ化します。レビューは翌営業日までに一次対応(質問・反映・保留の切り分け)を行います。

3. 応募先の需要に対してスキルセットがマッチしているか

「広く浅く」では刺さりません。応募先のエンジン・プラットフォーム・パイプラインへの適合を、成果物と説明で示します。

  • 悪い例:「バックエンドもできる」と言いながら、実績は学習用サンプル止まりで、クラウドやCI/CDの構成説明が曖昧です。
  • 良い例WebAPIのスロットリング対策やCI/CD構成(テスト/ビルド/デプロイ)を構成図で説明できます。Unityのアセット管理やアドレス指定、メモリ最適化の具体をスクリーンショットで提示できます。

4. 希望とのアンマッチをどう解消するか

「やりたいこと」と「任されること」の差分は必ず生まれます。入社前から期待値の整合を取り、ミスマッチを抑えます。

  • 悪い例:入社後に「想像と違う」と離脱し、役割の境界が曖昧なまま衝突が増えます。
  • 良い例:面談段階で担当範囲・優先順位・評価基準を文書化します。入社後はチームのリズムに合わせ、
  • 最初のリリースは現状踏襲と観測、
  • 次のリリースで小さな改善を1件(影響範囲が狭いものから)、
  • 三つ目のリリースで改善の仕組み化を1件、
    と段階を決めて到達点のイメージを共有します。

5. Unityやゲーム開発の経験は?ジュニア枠か即戦力か

ゲーム系ではエンジン特性と制作フローの理解が重要です。Unity中心でも、Unreal Engineのキーワードを最低限押さえると適応力の評価が上がります。

  • 悪い例:実務レベルのUnity経験が乏しいまま即戦力を主張し、ビルド/Profiler/アセット運用の具体が語れません。
  • 良い例:ジュニアは「学習→運用」の橋渡しを明確にします(例:ProfilerでGCスパイク確認→Addressables導入でロード分割→フレーム落ち改善までを再現可能に説明)。即戦力はビルドパイプラインCI整備経験、Unreal EngineにおけるBlueprint→C++移行基準やCook時間短縮の工夫を示します。

6. 結局、良いプログラマーとは?

華やかな経歴よりも、要件を解きほぐし、合意を取り、最後までやり切る姿勢が評価の核です。そこに素直さと学習習慣が乗ると、変化の多い現場でも安定して信頼を得られます。短期離職や独善的なふるまいは、実力があっても採用・定着の障壁です。

良いプログラマーの特徴(チェックリスト)

  1. 技術力と学習意欲:現行案件に即した実装を語れ、未経験領域も具体的な吸収計画を持っています。
  2. コミュニケーション力:論点整理→要点共有→記録の循環を回せます(結論の先出し・議事メモの即配信)。
  3. プロジェクト完遂力:スプリント単位でのバーンダウン遵守、未完了の見える化と手当を行います。
  4. 働き方の設計:特性や体調に応じた負荷調整とチーム内の合意形成(作業時間・レビュー頻度・連絡手段の取り決め)を整えます。

まとめ

評価の核は、スキルの深さ×伝える力×完遂習慣×案件適合の掛け算です。応募先に合わせてポートフォリオと説明資料を再構成し、面接では「課題→施策→結果→学び」を短く具体的に伝えます。できること/できないことを率直に共有し、合意した範囲を確実にやり切ります。この積み重ねが、採用と定着の両方で効きます。