ゲームやコンテンツ制作の現場では、「プランナー」という肩書きのもとに多様なスキルが求められます。単なる企画立案だけでなく、開発ツールの扱いやディレクション能力、チーム内外とのコミュニケーション力など、幅広い要素が評価対象です。今回、現場の声を元に、プランナーとしてどのようなポイントが“良い”とされ、どのような点が“悪い”とされるのか、具体例を交えてご紹介します。なお、個人が特定されないように表現を調整しています。
1. “スクリプター止まり”か、“企画の幅”を持っているか
ゲーム制作では、実装の補助を行う“スクリプター”のような役割を担う方もいます。一方、プランナーとして採用されるには、企画全体を考えられるかが重要です。
- 悪い例: スクリプト作成のみで終わり、論理的整合性やゲームバランス調整にまで目が届かない。
- 良い例: Unityなどの開発ツールを扱いながらも、企画そのものを提案でき、ゲーム全体の運営や新機能アイデアに発展させられる。
「スクリプター=プランナーになれない」というわけではありません。しかし、採用サイドとしては「スクリプターの延長でとどまらず、論理的にアイデアを組み立て、将来的にはディレクションまで担ってほしい」と期待する声が多いのです。
2. ディレクション能力があるか、それともハードルに届かないか
プランナーが担う役割のひとつに、プロジェクトを俯瞰して進行管理する“ディレクター的視点”があります。たとえば、アニメ制作進行や他コンテンツのディレクションを経験していれば、社内外の制作スタッフやクライアントとの調整、スケジュール管理にも対応しやすいでしょう。
- 悪い例: 細かいタスクはこなせるが、プロジェクト全体を把握して指示を出す視点が欠けている。
- 良い例: 異業種でも進行管理や演出の経験があり、ゲーム制作でもスムーズにリーダーシップを発揮できる可能性を示唆。
高いハードルとは、単なる熱意だけでなく「明確な実績や管理経験」を求められることが多いという意味でもあります。どれだけ元気で積極的であっても、そのハードルを越えられる現実的なスキルや経験を示せなければ採用にはつながりにくいのです。
3. 知識や研究熱心さがあるか、コミュニケーション面は十分か
ゲームやコンテンツ制作では“知識量”や“深い研究力”が大きな武器になります。特に世界観の構築や新しいジャンルへの挑戦では、豊富な知見が評価されるケースが多いです。
- 悪い例: 深い知識があっても会話がかみ合わず、自己アピールの方法を間違えて相手に伝わらない。コミュニケーション面で不安を与える。
- 良い例: マニアックな知識を持ちつつ、整理して相手に伝えるスキルを兼ね備え、周囲を納得させられる。
プランナーはさまざまな部署やクライアントとやりとりするため、“どれだけ濃い知識を持っているか”だけでなく、“その知識を円滑に共有できるか”も非常に重要視されます。
4. 経歴と雇用形態へのマッチング
会社の経営状況やプロジェクトのスケジュールによって、“即戦力としてフルタイムで活躍してもらいたい”場合もあれば、“限定的な領域でスポット対応を依頼したい”という場合もあります。
- 悪い例: 経歴をあいまいにまとめてしまい、「何が即戦力で、何ができないのか」が明確に伝わらず、採用サイドが判断に困る。
- 良い例: 過去の派遣・フリーランス経験を活かし、必要に応じた柔軟な働き方が提案できる。また、エンジニアの知識とプランナー志望の意欲をバランス良くアピールする。
プランナーといっても働き方は人それぞれ。企業は“今のプロジェクトで求められているもの”と“本人のキャリア”のマッチングを重視しているため、採用可否が分かれることも多いのです。
5. 結局、良いプランナーとは?
これらのフィードバックから見えるポイントは、以下のようにまとめられます。
- 企画の幅・論理的思考
- スクリプトなどの技術に偏らず、ゲーム全体をデザインできる視点や論理性を持つこと。
- ディレクション力・リーダーシップ
- アニメや他コンテンツ制作など異業種の進行管理を活かし、プロジェクトを俯瞰できるか。
- コミュニケーション・プレゼンテーション
- 深い知識や熱意を持っていても、口下手では周囲に伝わらない。質問への的確な回答や相手目線を踏まえた説明力が不可欠。
- 働き方と経歴の相性
- フルタイム・契約社員・パートタイムなど、企業が求める働き方とのマッチングを意識し、過去の経験をわかりやすく整理して提示できるか。
どれか一つの要素だけが抜きん出ていても、ほかの部分が極端に欠けていると、「プランナーとして総合的に活躍できるだろうか?」という不安につながります。
逆に、すべてが平均的にそつなくできる人よりも、「コアスキル+基本的なコミュニケーション力」がある人のほうが、現場では重宝されることも珍しくありません。
åまとめ
プランナーという仕事は、単なる発想やアイデア力だけではなく、コミュニケーションやディレクション、実装のスクリプト作業への理解など、多面的な力が求められます。特に採用面談の段階では、「この人なら自社のプロジェクトを円滑に回し、周囲を巻き込みながら成果を出してくれそうだ」と思わせるだけの総合力や柔軟性、そして明確な“得意分野”が評価の鍵となるのです。
もし、これからプランナーを目指して就職・転職活動をされるなら、今回のフィードバック事例を踏まえ、自分がどの部分で強みを発揮でき、どの点を補う必要があるかを客観的に振り返ってみましょう。企業側が求めるスキルや経験を理解し、自分なりのストロングポイントをしっかりとアピールできれば、採用面談での印象は大きく変わるはずです。
最終的には、“良いプランナー”かどうかを決めるのはプロジェクトの現場と企業のニーズ。そして、その判断材料として一番重視されるのが、「現実を踏まえた具体的な実行力とコミュニケーション」だということを、ぜひ心に留めておいてください。