ゲーム制作の現場で、3DCGデザイナーはゲームの世界観を視覚的に具現化する重要な役割を担っています。
高度な技術だけでなく、クリエイティブな発想やチームでの協調性、問題解決能力など、多岐にわたるスキルが求められます。
本記事では、採用現場のインタビュー内容や業界の情報をもとに、3DCGデザイナーとしてキャリアアップするための具体的なポイントを詳しく解説します。
書類選考で重視とされるポイント
書類選考は、応募者のスキルセットや実績を最初に評価する重要なステップです。
ここでは、必須スキルから歓迎されるスキルまで、具体的にどのような能力が求められるのかを詳しく見ていきます。
必須スキル
- Maya Mayaは、映画やゲーム業界で広く使用されている3DCGソフトウェアです。以下のような具体的な能力が求められます。
- モデリング: キャラクター、背景、プロップなど、ゲーム内のオブジェクトを高品質かつ効率的に作成する能力。トップクラスのデザイナーは、解剖学や建築学の知識を活かしてリアリティのあるモデルを作成します。
- セットアップ(リギング): モデルに骨組みを入れて動かせるようにする技術。キャラクターの自然な動きを実現するためには、リギングの深い理解とスキニング技術が必要です。
- Photoshop テクスチャ制作の基本ツールであり、質感や色彩をモデルに与える重要な役割を果たします。
- 高度なテクスチャリング:フォトリアルな質感や手描き風のスタイルなど、多様な表現が可能。高度なレイヤー操作やブラシ設定を駆使して、独自性のあるテクスチャを作成できます。
- Unity ゲームエンジンであり、自作のモデルを実際のゲーム環境で動作させるために必要です。
- モデルのインポートと設定:Unityにモデルを取り込み、マテリアルやアニメーションの設定を行います。最適化も含め、ゲーム内でパフォーマンスよく動作させるための知識が求められます。
歓迎されるスキル
歓迎されるスキル持っていることで、採用での評価や、アサインされるプロジェクトの幅が広がり、キャリアアップにつながります。
- リギング アニメーションを行うための骨組みを作成する技術。高度なリグを作成できると、アニメーターからの信頼も高まります。
- Unreal Engine 中規模程度までのゲーム開発に使用されるものとしてはUnityがよく使われますが、大規模な開発に使われることが多く、使用できるとアサインされるプロジェクトの幅が広がります。
- ZBrush スカルプトモデリングが可能なツール。細部のディテールや有機的な形状のモデルを作成する際に不可欠です。
- 高解像度のノーマルマップ生成:ハイポリモデルからノーマルマップを生成し、ゲーム用のローポリモデルに詳細な質感を与える技術です。
- Substance Painter PBR(物理ベースレンダリング)に対応したテクスチャリングツール。
- スマートマテリアルの活用:時間効率を上げつつ高品質なテクスチャを作成できます。汚れや傷などのリアリスティックな効果を簡単に追加可能なツールです。
その他の評価ポイント
- 具体的な実績の記載 大手タイトルへの参加経験は採用者に興味を持ってもらえますが、具体的に「どの部分を担当したのか」を明記しないと、実際の評価にはつながりません。
- 例: 「AAAタイトルでメインキャラクターのフェイシャルモデリングを担当」「オープンワールドゲームで都市環境のプロップデザインを担当」など。
- ポートフォリオの内容
- 幅広い制作実績: ファンタジー、SF、リアルなものからからカートゥーンまで、表現の幅が見えるものを用意すると、採用者も具体的な採用イメージができ、好印象になります。
- 生成AIの使用について: 昨今、生成AIでの3Dモデリングも可能ですが、作成したモデルを微調整して提出するようなことはやめましょう。採用側にも見抜かれてしまいますし、業務にアサインされた際に多大な迷惑をかけることになります。
- セルルック作品の取り扱い: シェーダーを適用した作品は見栄えが良いものの、モデリングの実力を判断しにくい場合があります。シェーダーなしのバージョンも併せて提出すると親切です。
面談で重視される要素
面談は、応募者の人柄やチームへの適合性、実績や実務能力を直接確認する機会です。
該当する事例があればアピールポイントとして資料に記載しておき、面談で会話してみると良いでしょう。
制作能力と柔軟性
- 実績やポートフォリオをもとに自身の担当した業務を解説
- より具体的に自信が担当した業務の解説をすることにより、業務の理解度や技術、経験、得意分野などをを評価してもらうことができます。
- 自主的な課題解決力
- 例えば三面図などの資料が一部不足していても、参考画像やコンセプトをもとにモデルを制作できる能力は高く評価されます。
- 自主的な提案力
- ゲーム仕様に合わないポリゴン数など、指示通りに作成した場合に、問題が起きる予測ができるのであれば事前に共有して解決案を提案できることも評価に繋がります。
- 得意領域の明確化
- 自身が得意とする分野(キャラクターモデリング、環境デザイン、プロップ制作など)を具体的に説明し、それに関連する実績を挙げることで、アサイン先のプロジェクトをイメージすることができます。
チームでの協調性
- コミュニケーション能力
- 円滑な情報共有: チームでの制作において進捗や問題点を適切に報告し、他のチームメンバーと協力して課題を解決する能力が重要です。
- 建設的な議論 スケジュールや予算、技術的な観点から、様々な課題が発生するゲーム制作において、課題に対してYES/NoではなくYESに近づけるためにどうしたらいいかといったような議論ができる能力が評価に繋がります。
終わりに
ポイントして挙げた項目の中で、自身が十分ではないと感じたところを、今後の学習や業務経験を積んでいくための目標にしてみてください。
3DCGデザイナーとしてのキャリアアップは、一朝一夕では成し得ません。
技術力の向上はもちろんのこと、チームへの貢献や自己成長への意欲が鍵となります。
常に前向きな姿勢で学び続け、自身の可能性を広げていきましょう。