今のままでもいいのかな、将来が不安、今よりもキャリアアップしたい——そう思ったことはありませんか?
転職は配置換えではなく、あなたの力が最も活きる場を選び直す行為です。プラットフォーム、役割、責任の置き方が少し変わるだけで、同じ企画力でも評価も年収も、働き方も変わります。
ゲームプランナーとは?
ゲームプランナー(ゲーム企画/ゲームデザイナー〈企画〉)は、企画立案から要件定義・仕様作成、制作進行の管理、そしてリリース後の分析・改善まで、開発の要所で“面白さ”を事業成果へ橋渡しする役割です。プロジェクトのフェーズや組織規模により関与範囲は変わりますが、開発・アート・QA(品質保証)など各職能と連携し、仮説と検証で価値を積み上げていく点は共通です。実力主義の側面が強く、早期から成果で評価される機会があるのもこの職種の特徴です。
年収について:公的統計は「ゲームプランナー単独」では整備されておらず、「ゲームクリエーター」全体としての情報が中心です。一方、民間の職種特化データではプランナー単体の推計が公開されており、求人統計ベースの平均は約469万円、転職支援の自社集計では平均約600.5万円と、母集団と算出方法の違いにより幅が見られます。したがって、経験 × 役割(KPI責任の有無) × 企業規模/プラットフォームの組み合わせで自身のレンジを読むのが現実的です。
参考:公的サイトの職種解説は「ゲームクリエーター(職業別名:ゲームプランナー)」として掲載されています。
出典
- 厚生労働省 職業情報提供サイト Job Tag「ゲームクリエーター(職業詳細)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/330 - 求人ボックス「ゲームプランナーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」[平均 約469万円]
https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E3%83%BB%E6%99%82%E7%B5%A6 - レバテックキャリア「ゲームプランナーとは?(平均年収の記載あり)」[平均 約600.5万円]
https://career.levtech.jp/guide/knowhow/article/107/
※上記の平均値はいずれも各出典の公開時点(2024〜2025年)の記載に基づきます。市況や求人動向により変動します。
ゲームプランナーのキャリアパス3つ
将来像がぼんやりだと、求人の良し悪しも判断しづらいもの。ここでは「どんな責任を引き受けたいか」という視点で、代表的な3つの進路を紹介します。
プロジェクトマネージャー
段取りと合意形成でチームを前に進める役回り。仕様やタスクを“動く現実”に落とし込み、遅れや品質リスクを早めに潰す。
役割:進行・品質・コストのバランス管理、レビュー運用の設計。
主な着眼点:優先度(MUST/SHOULD/COULD)、依存関係、審査や提出物の基準、バグ修正のリードタイム(対応完了までの時間)。
向く経験:仕様書づくり、チケット運用、他職能との調整、マイルストーンの再設計。
ゲームディレクター
体験の舵を取り、各職能が力を出せる土台を整える役割。ビジョンを仕様とレビューで担保し、迷いが生まれにくい“共通言語”を作る。
役割:体験価値の最終責任者、品質基準と意思決定スピードの担保。
主な着眼点:体験ループ/難易度配分/UI導線、スコープ管理(開発範囲と変更の管理)、スケジュール/KPIの両立。
向く経験:複数機能の横断調整、クリエイティブと実装の調整、レビュー文化の構築。
ゲームプロデューサー
事業の視点で作品を俯瞰し、ヒト・カネ・時間を配分する責任者。市場機会を見極め、組織内外を巻き込みながら成果に寄せる。
役割:企画選定、P/L(損益:収益−費用)管理、採用・外部折衝、宣伝・販売計画の統括。
主な着眼点:収益モデル、投資配分、契約・法務、ブランド/IP(知的財産)の運用、リスク時の選択肢(縮小/延長/撤退)。
向く経験:収益設計や価格・販売施策、パートナー連携、チームづくりと評価制度の運用。
—どれを目指すかは、肩書きより「どんな責任で価値を出したいか」で決めるのが近道です。
・人を動かす段取りが得意なら:プロジェクトマネージャー
・体験の品質にこだわり抜けるなら:ディレクター
・事業の数字と配分で勝ち筋を作るなら:プロデューサー
いまの実績をこの3軸に当てはめてみてください。迷いが残るなら、まずは応募書類に自分が引き受けたい責任を一行で明記すると、選考でも会話がクリアになります。
ゲームプランナーの転職に必要なスキル6つ
“面白さ”を成果に変えるために、現場で評価される6領域を説明していきます。
市場・ユーザー分析力
市場や競合の数値だけでなく、レビュー・行動ログ・問い合わせなど複数の材料から「いま何が起きているか」を仮説化し、検証まで設計する力。
なぜ必要か:課題設定が外れると、企画から開発・運用までの投資判断が連鎖して誤るため。
発想力(システム/コンテンツ設計)
コア体験を言語化し、体験ループ・報酬曲線・難易度配分へ落とし込む設計力。奇抜さよりも継続可能な面白さを重視。
なぜ必要か:運用でも据置/PCでも、再現できる“楽しさの設計図”が評価と収益に直結するため。
プレゼンテーション力(説得の構成)
目的→結論→根拠(データ/ユーザーの声)→リスクと代替案の順で短く通す。反対意見を想定した先回りの一文まで用意。
なぜ必要か:良い案でも構成が弱いと通らず、スピードと責任が自分に戻ってこないため。
コミュニケーション力(合意形成)
Issue(課題チケット)や議事で決定・保留・宿題を分け、レビュー依頼は目的と期待アウトプットを明記。情報を正しく残して手戻りを減らす。
なぜ必要か:合意形成の質と速度が、そのまま納期・品質・チームの負荷に跳ね返るため。
進行・マネジメント力(優先度/依存関係/リスク)
MUST/SHOULD/COULDでやらないことを決め、依存関係を早期に洗い出し、リスクには代替案を用意。据置/PCはマイルストーン厳守、運用はイベントカレンダーと工数の両立が要点。
なぜ必要か:限られた人員・時間で最大の成果を出すには、選択と集中が不可欠なため。
KPI・データ分析力(留存・課金・A/B)
フェーズに応じた指標で検証し、次の一手に結びつける力。運用では継続率・課金率・ARPU(1人あたり平均売上)・ARPPU(課金ユーザー1人あたり平均売上)・LTV(顧客生涯価値)を主に用い、据置/PCの新規ではクラッシュフリー率・重大不具合率・チュートリアル完了率など品質・体験指標を主軸に据える。A/Bテストは設計→実装→解釈→展開までを一連で語る。
なぜ必要か:何が効いたかを数字で示せないと、施策の優先順位も投資判断も揃わないため。
この6項目は転職だけでなく現職の改善にもそのまま使えます。明日のレビュー1本分だけでも試してみてください。
転職成功のポイントと採用側の目線
採用側は「任せられる範囲」と「再現性」を見ています。以下の4点をその視点で整えましょう。
企業文化の違いを理解する
同じ「プランナー」でも期待は会社ごとに異なります。見るのは、意思決定の距離(誰が何を決めるか)、ドキュメントとレビューの型、新規/運用の比率の3点。面接では「どのレビューで最終判断が出るか」「方針はどの周期で見直されるか」を具体例で確かめます。
採用側はここを見る:自社のやり方に合わせて働き方を組み立てられるか。
注意:条件だけで判断すると文化のミスマッチが起きやすい領域です。小さな違和感があれば、後段《転職先選びの注意点》のチェックも併せて確認を。
ゲームプランナーに必要なスキルや資格を身につける
上の6項目を土台に、応募先の文脈で重み付けを変えます(据置/PC=品質・スコープ、運用=KPI・A/B)。資格は“補助線”。実務の前後比較や再現できる手順とセットで語るのが要点。
採用側はここを見る:現場で「どう再現するか」まで想像できるか。
前職の経験をどう活かせるかをアピールする
伝えるのは、任せられる範囲と再現性。責任範囲→施策→前後比較の数字→学び の順で短くまとめる。
例:〈仕様・レビュー担当〉序盤の離脱に対し導線を2タップ短縮 → 完了率+8pt → 命名/決定ログを整備し他導線へ展開。
採用側はここを見る:うまくいった/いかなかった理由を、役割と数字で説明できるか。
制作側に立ったアピールをする
「面白かった」ではなく、どこを、どう直すと、何に効くかを制作の視点で述べる。
例:UI導線の見直しで“序盤30分の迷い”を減らす/報酬曲線の再設計で“イベント後半の離脱”を抑える——意図→方法→期待効果を一行で。
採用側はここを見る:自社タイトルに置き換えたときの改善イメージが湧くか。
転職先選びの注意点
ありがちな失敗例と回避策
まずは「ありがちな失敗」を知っておくと、面接で聞くべきことが自然に整理できます。
- 企画で入ったつもりが“実装係”に
失敗例:仕様は他部署が決め、あなたはタスク消化だけになった。
回避策:A/B・価格・イベントを誰が決めるか、あなたの決定権と承認の所要時間を確認。オファー時に役割と決定権の範囲を文面化してもらう。 - フェーズ/役割のズレ(新規↔運用、企画↔PM・CS兼務)
失敗例:新規を望んだのに運用中心、企画のつもりが兼務前提だった。
回避策:直近〜次四半期の新規/運用/移植の比率、次のマイルストーン、自分の想定担当と兼務の上限を確認。担当フェーズと役割の上限を条件として書面合意。 - 責任だけ重く“権限がない”
失敗例:KPI責任は負うのに、決定権や投入頻度が足りず、撤退基準も曖昧。
回避策:責任と権限を1:1で揃える条件をセットで確認。調整不可なら見送りも検討。 - 口頭運用で“決定が残らない”
失敗例:仕様テンプレがなく、議事・Issueが残らず手戻りが多発。
回避策:仕様テンプレ/命名規則/議事録の運用、ツールの定着状況、チケットの完了条件(DoD=作業完了の定義)を確認。入社後に記録と完了条件の型を整える提案に乗れるかも確かめる。
募集要項に出てくる表現の「こう読む・こう確認」
みなし○○時間
こう読む:固定残業を含む可能性。総額だけでは実態が見えない。
確認:(1) みなしの時間数 (2) 超過分の扱い (3) 深夜・休日割増 (4) 給与内訳の明記。
裁量労働制
こう読む:実働管理が緩く、時間超過が見えづらい場合がある。
確認:(1) 適用範囲(職種・等級) (2) “みなし時間”と実働の実態 (3) 評価サイクル (4) 深夜・休日の取り扱い。
常時募集/大量採用
こう読む:拡大期か、離職が多いかのどちらか。
確認:(1) 採用目標と充足率 (2) 直近の離職率 (3) 直近の退職理由の傾向。
情熱があればOK/ルールはこれから
こう読む:評価や手順が未整備の兆候。
確認:(1) 評価基準 (2) レビュー体制 (3) 仕様テンプレ・議事録などドキュメント運用。
臨機応変にマルチタスク
こう読む:兼務前提で“境界”が曖昧になりやすい。
確認:(1) 本来の役割範囲 (2) 兼務の上限 (3) 優先順位付けのルール(誰がどう決めるか)。
単語で判断せず、数字と運用の実態まで聞けるとミスマッチを避けやすくなります。
内定受諾前の最終確認
- 条件と評価:年俸 or 月給 + 賞与、みなし残業の有無・時間数・超過扱い、評価サイクル/等級基準
- 役割と権限:KPI責任、意思決定範囲、承認経路のリードタイム、はじめの3カ月の目標
- 権利とコンプラ:副業/競業の範囲、NDA、課題・成果物の権利帰属、ポートフォリオ可否
ゲームプランナーの転職先の見つけ方4つ
使い分けの目安:幅広く速く見る→専用サイト/内情を具体に→知人紹介/選考〜交渉まで伴走→エージェント/働き方を柔軟に→フリーランス。
ゲームプランナー専用の転職サイトを使う
一般サイトよりも、プラットフォームや役割での絞り込み精度が高く、職務内容の粒度も合いやすいのが利点。非公開求人や提出課題の傾向も把握しやすくなる。
活用のコツ:検索条件は「プラットフォーム/役割(新規/運用)/年収帯/働き方」を一文で保存。掲載の更新頻度、成果物の権利帰属の記載、レビュー体制が明記された求人を優先。
※ 業界特化の転職サイトにプロフィールを整えておくと、非公開案件やプラットフォーム別の傾向を踏まえた提案を受けやすくなります。
知人に紹介してもらう
内情が具体的にわかり、選考がスピーディになりやすい。反面、比較しづらい/断りづらい面も。
活用のコツ:事前に要件の一文(プラットフォーム/役割/年収帯/働き方)を共有し、可否判断ポイントを最初に伝える。紹介経由でも募集要項の“赤信号ワード”は自分で確認。
転職エージェントを活用する
求人提案に加え、職務経歴書の磨き込みや面接対策、条件交渉の代理まで任せられる。ゲーム業界に特化したサービスを選ぶと、据置/PCと運用の比重や評価基準など現場の温度感まで得やすい。
活用のコツ:初回面談で要件の一文を提示し、推薦文の草稿を確認させてもらう。連絡は定期スロットでまとめ、同時並行は2社までに。
フリーランスになる
業務委託(準委任/請負)で、稼働日数・担当範囲・単価を自分で設計できる働き方。スケジュール裁量や参画の柔軟性が大きい一方、収入の変動や契約条件の重みが増す。
確認ポイント:契約形態/検収条件/支払サイト/成果物の権利帰属/競業避止・NDA/常駐有無・リモート可否。実績は比率・レンジ表記と再現GDDで安全に見せ、案件探索には業界特化の支援サービスの相場感・交渉ノウハウも参考に。
よくある質問(Q&A)
Q1. ポートフォリオはどこまで出していい?
・数値は比率・レンジ表記(+8pt、120〜130% 等)。実数や生ログは出さない。
・画面はダミー再現で差し替え、固有名詞・IDは伏せる。
・企画は再現GDD(骨子だけ)で示す。前後比較を1〜2件添えると伝わりやすい。
・提出ファイルの冒頭に機密配慮の但し書きを入れる(第三者情報を含まない旨)。
Q2. 提出課題の「権利帰属」で気をつける点は?
・募集要項の知財・二次利用の条項を確認。
・課題末尾に一行添える:本提出物は選考目的に限る利用を許諾し、著作権は応募者に留保します。第三者の機密情報は含みません。
・公開ポートフォリオ流用は避け、専用版を作るのが無難。
Q3. 据置/PCと運用(F2P)で、面接の深掘りは何が違う?
・据置/PC:スコープ管理、品質指標(重大不具合率・クラッシュフリー率)、審査/マイルストーン運用の具体。
・運用(F2P):イベント設計、継続率・課金率、ARPU/ARPPU・LTV、A/Bテストの設計→解釈→展開。
・いずれも1枚サマリ(仮説→指標→施策→結果→次手)を用意。
Q4. 給与・条件交渉は「いつ・何を材料に」やる?
・タイミング:最終面接後〜内定提示前が基本。
・材料:役割範囲(KPI責任・決裁権)/実績の再現性(前後比較)/想定インパクト。
・伝え方:年収レンジ + 根拠(総額・賞与・みなし残業の内訳まで)で提示。評価サイクルも合わせて確認。
まとめ
転職先は“肩書き探し”ではなく、自分の力が最も活きる場所の選定です。
正社員としてプロダクトを深く育てる道も、フリーランスとして専門性で横断する道も、どちらもキャリアを伸ばせます。大切なのは、比較軸と避けるべきサインを手元に置いて選ぶこと。
・比較軸の例:プラットフォーム(据置/PC/モバイル)/役割(新規/運用)/責任と決裁範囲/評価サイクル・報酬の内訳/働き方(出社・リモート)
・注意点の再確認:裁量の範囲が曖昧、責任 > 権限、兼務肥大、口頭運用(議事・仕様が残らない)—ここに該当したら深掘りを。
次の一歩は小さくて構いません。
1) 応募要件を一文にまとめる(プラットフォーム/役割/年収帯/働き方)
2) 職務経歴書の先頭を「5行サマリ + 実績3行(前後比較)」に整える
3) 面接用に1枚サマリ(仮説→指標→施策→結果→次手)を用意する
志向別チェックポイント
- 新規開発志向の方へ:据置/PC・モバイルいずれでも、新規:運用の比率と最初の担当フェーズを数字で確認しましょう。
- 運用志向の方へ:投入頻度とKPIの責任範囲、そして撤退基準が明文化されているかを要チェック。
- 独立(フリーランス)志向の方へ:契約の検収条件と権利帰属、支払サイトの3点を最初に固めると、後の交渉が滑らかになります。
